新しくて、懐かしい街 ~広島県 尾道市~
海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい。
(林芙美子 著『放浪記』より)
作家 林芙美子の自伝的小説『放浪記』の中に登場する一節。
13歳から18歳までの5年間を尾道で過ごした林芙美子は、上京した後もしばしば尾道へ帰郷していたようです。
尾道の海を見ると何故か心安らぐ。
優しい時間がゆっくりと流れる尾道を感じさせてくれるとても素敵な一節だと思います(*´ω`)
僕の大好きなアニメ『たまゆら』でもこの一節は紹介されていて、作中に尾道の街も登場します。
今回は、新しいのにどこか懐かしい街 広島県 尾道市を紹介していきたいと思います(^^♪
JR岡山駅から山陽本線で約1時間半、またはJR三原駅から同じく山陽本線に乗り約15分で到着するのが尾道の玄関口「JR尾道駅」。
2017年から始まった駅舎建替え工事が今年2019年3月に終了し新駅舎での営業が開始されました。なので今まさに新築ピカピカの駅舎です!
駅構内にはゆったりとした待合いスペースやICカード対応のコインロッカー、観光案内所や展望デッキが備えられており首都圏の大型駅顔負けの設備が整っています。
また、駅舎の前にはサイクルラックが設けられていて、午前中は「瀬戸内しまなみ海道」を渡るサイクリストの皆さんが準備を整えている姿を目にすることができます。
もちろん『たまゆら』作中でも尾道駅は登場しますが、描かれているのは建替えられる前の古い駅舎のほうなので、作中に登場するそのままの尾道駅を見ることはもうできません。
ただ、駅舎に掲げられている特殊な漢字を使った「尾道駅」という駅名表示(「道」のしんにょうの“点( ` )”が二つある)は古い駅舎の頃から変わっていませんので、尾道を訪れた際はぜひ注意して見てみてください(*^▽^*)
尾道駅の駅前ロータリーを超えるとすぐ目の前には海が広がっています。
波はほとんどなくとても穏やかです。あまりにも静かなので海を眺めているだけでもほっこりしてきます(*´ω`)
向かい側にある陸地はその名も「向島(むかいしま)」。造船業が盛んです。
尾道市街と向島とを繋ぐ渡し船が運航しているので、島へ渡るときはこちらを利用します。自動車で渡るときは尾道大橋を利用しましょう。
こちらはたまゆらにも登場したアングル。
写真の通り、海(尾道水道)に沿ってデッキ遊歩道が整備してあるので、ゆっくり海を眺めながら散歩を楽しむことができます。
尾道水道は少し狭い水道ではありますが、いろいろな船が頻繁に行き来しているので見ていて飽きません(^ ^)
遊歩道前には芝生の広場が整備してあって、休日にはここでイベントなどが催されます。
向島へ渡ってみましょう!
向島へは渡し船で5分ほど。船は尾道駅前と向島を15分くらいで往復してくるので出航時刻表などはありません。来た船に乗りましょう。
運賃は片道100円。乗船券などはなく船内で支払います。おじさんが運賃の回収に来てくれるのでその場でお金を支払いましょう。もちろんキャッシュレスには対応してないので現金支払いです。おつりが出ないように100円硬貨を準備してから乗り込むといいでしょう。
穏やかな尾道水道をゆっくり移動する、ほっこり落ち着く短い船旅です(*´ω`)
時がゆっくり流れる島、向島。
尾道駅前の喧騒がまるで幻だったかのように静かでゆったりとした空気が流れます。
鉄柵の錆や使われなくなった自動販売機、波の音や風の香りさえもどこか懐かしく感じてしまう、そんな不思議な魅力を持った島です。
「B&B 潮風」さん。作中では「B&B 海風」という名前で登場します。
「B&B」というのは「Bed & Breakfast」の略で宿泊と朝食のみを提供する宿泊施設を指します。簡単にいうと“「素泊まり 朝食のみ」の民宿”といったところ。
たまゆら作中では主人公の楓(ふう)ちゃん、楓ちゃんが憧れる写真家 志保美りほさん、楓ちゃんのお父さんの職場の後輩 はるみさんの3人が宿泊しました。また『たまゆら ~もあぐれっしぶ~』のOVAでは楓ちゃんを含む仲良し5人が「修学旅行パート2」として尾道を訪れたときに宿泊しています。(←ちなみに僕このお話めっちゃ好きです!)
僕自身はこちらに宿泊したことはないのですが、実際に宿泊された方の話を聞くと、建物の外観だけでなく、内装もたまゆらで描かれている姿そのままだそうです。僕もいつか泊まってみたい(*^^*)
再び渡し船に乗り向島から尾道駅前に戻ってくるとき海側から尾道駅方面を眺めると、尾道は海だけでなく山にも近いことがよくわかります。
ついつい海側にばかり目が行きがちですが“見上げる尾道”もまたいいものですよ(*^^*)
尾道駅前から海沿いのデッキ遊歩道をまっすぐ進んでいくと見えてくるのが「おのみち映画資料館」さんです。
尾道は「映画のまち」でもあります。
ここには尾道がロケ地のひとつとなっている『東京物語』や広島出身の映画監督 新藤兼人監督らの資料が展示されています。
そんなおのみち映画資料館さんの前に設置してあるものがたまゆらの聖地。
これは昔、映画館で実際に使われていた映写機で、作中では修学旅行パート2中の麻音ちゃんがこれを見て「怪獣に見える」と妄想をほとばしらせていました。
尾道は坂のまち。
海と山の境界線のように走るJR山陽本線の線路を超えると、そこはもう坂道パラダイス!無数に延びる細い坂道はまるで迷路のよう。急な坂道もたくさんあるので小休憩を挟みながら歩かないと瞬く間に体力を持っていかれます。
でもその分、味わいがあってワクワクする魅力的な坂道にもたくさん出会うことができます。「この道を進んだら何があるのだろう。」そんな好奇心を掻き立ててくれる坂道ばかり!これだから尾道の坂道散策はやめられません(*≧ω≦*)
4枚目の写真の坂道はたまゆら作中でも描かれています。
なんだかオシャレな坂道ですよね(^ ^)
そんな尾道の坂道にあるかわいいパン屋さんをご紹介します(*^^*)
「ネコノテパン工場」さんです!
もちろん、たまゆら作中でも登場します。
店内に入ると、すぐ右側には商品のパンたち、すぐ目の前には支払いのための窓口があって、人ひとり分しか入れるスペースがありません。なので、前の人の買い物が終わるまでは写真のようにお店の外で並んで待ちます。
並んでるパンたちもとてもかわいいサイズで、どれも手のひらにすっぽり納まってしまうくらいの大きさ。小ぶりのミカンのようなサイズ、といえばわかりやすいでしょうか?まるで本当に猫ちゃんがその手で頑張って生地をこねてパンを作ったかのよう(*^^*)
このネコノテパン工場さんのパン、見た目がかわいらしいだけでなく、味もめちゃくちゃ良くて本当に美味しいんです!そのため、休日には長蛇の列ができるのなんて当たり前。上の写真を撮ったのは3連休の2日目だったのですが、タイミングが良かったのか、奇跡のような列人数の瞬間をカメラに収めることができました。(実際、僕が買い終わった後長蛇の列ができてました)
そうそう、購入した後はパンを奪おうとニャーニャー寄ってくる可愛い刺客に気を付けてくださいね。油断してるとマジで飛び付かれますからね(;^ω^)
坂道探検をしてるとふらっと不思議な場所に迷い込んでしまうことがあります。それはきっと猫たちのいたずら。。。
ここは「猫の細道」という尾道のアートスポットです。
古い家屋をリノベーションした画廊やカフェが建ち並びます。“建ち並ぶ”といっても、道は上下左右に曲がりくねっていて、前から来た人とすれ違うのがやっとというくらいの道幅しかありません。
文字通り「猫たちが暮らす場所?」と思えてしまうような小さなエリアの中に不思議な趣きのカフェがあったり画廊があったり。。。
本当に猫たちが暮らす異空間に迷い込んでしまったかのような不思議な感覚になる場所です。
猫の細道がどのあたりにあるのか、敢えてそれは書きません。
皆さんもかつての僕のように、坂道探検の末にふらっと迷い込んでみてください。
きっとそれは忘れられない不思議な体験になりますよ(*^_^*)
最後に猫の細道にある不思議なカフェをご紹介します。
尾道に暮らす400歳の魔女 ミーシャさんのオーガニックカフェ「Bouquet Darbres(ブーケ・ダルブル)」さんです。
ミーシャさんの素敵なお庭と尾道の綺麗な風景を眺めながらいただくハーブティーは最高です!使用しているハーブは全てミーシャさんが育てたもので、タイミングが合えば園芸ばさみでチョキチョキとお庭のハーブを収穫しているミーシャさんも見ることができます。
このお庭の雰囲気、不思議の国のアリスやゴスロリの世界観が好きな人は堪らないのではないでしょうか。かくいう僕も大のゴスロリ好き。お茶しながら静かにハイパーマックステンションになってましたw
Bouquet Darbresさん、尾道を訪れた際にはぜひ立ち寄ってもらいたいおススメのカフェなのですが、営業は不定期となっているので注意が必要です。
ミーシャさんが魔女会議などでお忙しいため、お店を開けるのはどうしても不定期になってしまうそうです。つまり、お店が開いてるかどうかはその日尾道を訪れてみないとわからない!(実際、僕も2年半前から数回訪れ続けてようやく今回ミーシャさんにお会いすることができました!)
「尾道を訪れてお店が閉まってた」となると少し残念ですが、そこは不思議スポット 猫の細道。「今回はお店への扉が開かなかったんだな」と考えると残念な気持ちも少しワクワクに変わります。
それに猫の細道には他にも素敵なカフェや画廊がいくつもあります。Bouquet Darbresさんに行けなかったとしても十分に楽しめる場所だと思います(*^▽^*)
いかがだったでしょうか。
観光地として名前はよく聞く尾道市。でも、実際にどんな街か知っているという人は意外に少ないのではないでしょうか?
この記事を読んで尾道に興味が湧いたら、次はぜひご自身で尾道を訪れてあちこち散策してみてくださいね!まだ僕が見つけていない尾道の素敵がきっと見つかると思います(^^♪
味わい深くて素敵なものがいっぱい。
みなさんもぜひ訪れてみてくださいね!